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在庫の可視化で属人化を解消し、コスト削減を図る ~現場DXのリアル、成功への取り組みとポイント~
はじめに
住友金属鉱山株式会社(以下、「住友金属鉱山」)様では、鹿児島県にある菱刈鉱山において、金鉱石の採掘に使用する重機車両の部品の管理を目的にKG ZAICOを利用しています。
今回は、菱刈鉱山 採鉱課 マインサポート係の井上様、古川様、および菱刈鉱山 DX推進室の福元様に導入背景や導入後の効果についてお話を伺いました。
現在の担当業務の概要を教えてください。
マインサポート係では、地下における金鉱石の採掘に使用する重機車両の整備を主な業務としています。
ダンプトラック、ドリルジャンボなど、約90台の重機車両を対象に、定期点検と突発的な修理を担当しています。【井上様】
KG ZAICOの導入背景を教えてください。
過剰在庫の防止とコスト削減を目指して
以前は、重機車両の部品の在庫管理をエクセルで行っていました。半年ごとの棚卸では、部品の種類が5年前に比べて約2割増加し、資材高騰に伴う部品単価の上昇もあり、在庫金額が約5割増加していました。
そこで、在庫管理の精度を向上させ、余分な在庫を持たないことで、コスト削減を図る必要がありました。【井上様】
数あるサービスの中からKG ZAICOを選定した理由を教えてください。
重機車両のメンテナンスエリアや部品保管倉庫などの現場で利用できるシステムを探していました。
KG ZAICOをトライアル利用した際、アプリの直感的な操作性や、社内購買システムから出力したデータを簡単に取り込める点を評価し、選定を決めました。
また、トライアル期間中にきめ細かいサポートを受け、導入後の具体的な運用をイメージできたことも大きな要因でした。【福元様】
KG ZAICOを導入した効果、満足している点について教えてください。
リアルタイムで簡単に部品を探せる
以前は棚卸から次の棚卸までの間、在庫の増減を精緻に管理できていませんでした。
KG ZAICO導入後は、アプリを使って、発注した部品の納品時に入庫処理、メンテナンスで部品を利用する時に出庫処理を行っています。これにより、現在の在庫数量をリアルタイムで確認できるようになりました。
また、キーワード検索や写真による部品の特定ができるようになって、部品を探す時間が大幅に短縮されたので、業務効率も上がったと感じています。【井上様】
属人化を解消して、過剰在庫を防止
メンテナンス作業者には整備を担当する重機車両が割り振られ、その部品管理も行っています。
KG ZAICO導入前は担当の作業者以外、部品在庫の状況がわからない属人的な管理となっており、例えば、異なる重機車両であっても共通する部品を、各々が発注して過剰に在庫を抱えてしまうリスクがありました。
KG ZAICO導入後は、全体の部品在庫を担当者以外でも確認できるようになり、共通部品の過剰発注を防げるようになりました。【古川様】
既存バーコードとシステムが発行するQRコードの両方を使える
購入時にバーコードが付いている部品については、そのバーコードをKG ZAICOに登録し、バーコードがない部品にはKG ZAICOが自動採番した番号をQRコードに印刷して貼り付けています。
スマートフォンのカメラでこれらを読み取ることで、簡単かつミスなく在庫情報を特定し、入出庫処理を行えています。
また、棚にはQRコードのほかに、画像・名称・保管場所を印刷したラベルシールを貼り付けています。これにより、部品確認も大幅に簡素化されました。【古川様】
発注点のアラート通知
発注から納品まで時間がかかる部品や、なくなってしまうと業務に大きな影響を与える部品を中心に発注点を設定しています。
発注点に達すると、メールで通知されるため、確認の手間が削減されました。【古川様】
今後の業務や運用における展望について教えてください。
スマートフォンからラベルシールを印刷
部品を発注する際、事務所のパソコンを用いて発注作業を行う必要があるのですが、パソコンで発注データを作成しながら、その場で同時にスマートフォンを使ってKG ZAICOに入庫データを登録し、「プリントzaico」アプリでラベルシールを印刷するプロセスに変更することを検討しています。
これにより、発注から入庫までの処理が一層スムーズになると考えております。
モバイル回線ではプリントzaicoアプリの動作確認ができたので、鉱山敷地内のWi-Fi環境でも動作できるよう調整しています。【古川様】
すべての部品を登録
KG ZAICO導入後、整備作業の空き時間を利用して、部品のデータ登録を進めてきました。
これまでに、約2,000品目の部品を登録しましたが、登録が完了していない部品もまだ残っているので、継続的に漏れなく登録を進めていく予定です。【井上様】
啓蒙活動を行い、すべての作業者に展開
現場の作業員にとっては、重機車両の整備作業が主な業務であるため、アプリを使った在庫管理は手間に感じられることもあります。現在はマインサポート係の15名(年齢層は30代~60代)が利用していますが、アプリの使用に抵抗感を持つ人もいるため、将来的には全員が同じ水準でアプリを利用できるようにしたいと考えています。
例えば、現場でKG ZAICOを使えば、整備に必要な部品が倉庫のどこにあるかがすぐにわかります。アプリの使用によって整備作業が効率化されることを体験すれば、作業員の理解が深まり、利用が進むと期待しています。
また、このような体験を継続的に共有していくことが重要だと考えています。【井上様】
データ分析による最適在庫の実現
将来的には、部品データだけでなく、分散して管理している整備データも1つのデータベースに統合し、データ分析を行いたいと考えています。
例えば、重機のメンテナンス頻度や稼働率、消費した部品の傾向を分析することで、適正在庫を把握し、コスト削減につなげたいと考えています。【井上様】